ZoooM! Gourmet 東京 今夜、どこに行こうか。
バル、ビストロ、ブラッスリー 待ってました!エスプリの効いた日常感
銀座の新名店、スペイン・バル「Pero」

銀座の新名店、スペイン・バル「Pero」

同じく銀座「カタラン・バー バニュルス」

同じく銀座「カタラン・バー バニュルス」

銀座に新風吹き込んだスペイン・バル

 昨年、ジンギスカンともうひとつキーワードになったのが“スペイン・バル”。

小石原 切っ掛けになったのは、4月に銀座にオープンした「Pero(ペロ)」の存在。カウンターにタパスがずらっと並んでいて、天井からは大きい生ハムがいくつもぶら下がっていて、タパスつまみながら気軽にワインが飲めて、で深夜までワイワイ賑わっていて……。という、“バル”独特の活気をオープンしたての時から持っているお店でした。

渡辺 バルやブラッスリーって、ワインや料理の味に集中したり気取るんじゃなくて、それは“つまみ”として何より会話を愉しみに行く所ですもんね。

 お客はみんなそれぞれ他人の目なんてそっちのけで自分たちの会話で盛り上がってる、みたいな“場慣れ感”“こなれ感”ね。

小石原 そう。だから「おぉ、遂に銀座にこういうお店ができた!」というインパクトがすごくあって、メディアも一斉に取り上げたんですよね。で、そうこうしているうちに8月、「カタラン・バー バニュルス」がオープン。こちらも本場の空気を絶妙に再現したスタイルで、この2店の登場は銀座をワクワクさせましたね。

*「Pero」は、「リストランテ・キオラ」や「レストラン サン・パウ」などを経営するグラナダ、「カタラン・バー バニュルス」は「オザミ・トーキョー」「ブラッスリー・オザミ」などのオザミワールドが、それぞれ出店。どちらも本質を提供する実力グループだけに注目の動きに。昨年11月には丸の内の東京ビルディニグ・TOKIAに「Pero」の姉妹店「Muy(ムイ)」がオープンした。

ビストロ、ブラッスリーが増えたということ

小石原 バルと同じく、ビストロやブラッスリーも昨年は素敵なお店が増えましたね。広尾の「マルシェ・オー・ヴァン」(西麻布「アルモニ」のムッシュが出した2店目。9席だけのカウンター・ビストロ)、恵比寿「ラ ピッチョリー ド ルル」(白金のフレンチ「シェ・トモ」の姉妹店。静かな立地でありながら深夜まで営業している)。アラン・デュカスが日本での2店目としてオープンした青山「ブノワ」もそうですね。ブーランジェリー併設で“パリ”な雰囲気を漂わせている渋谷のブラッスリー「VIRON」は、11月に東京ビルディング・TOKIAに2号店をオープンしました。

 青山の「アディング・ブルー」はリニューアルをしてビストロの色が濃くなりましたね。

渡辺 この手の、フランスのいい空気感を持っている洒落たビストロやブラッスリーは、ここ数年確実に増えていますよね。こういうお店は、その日の気分や腹具合でちょっとわがままが言えたり、ひとりでも気楽に通えたりできる、ある程度場数を踏んできた大人でこそ楽しめる。

小石原 劇的に増えているわけじゃないけれど、ジリジリと東京の食時間に対する “成熟”を感じさせられますね。

広尾「マルシェ・オー・ヴァン」

広尾「マルシェ・オー・ヴァン」

恵比寿「ラ ピッチョリー ド ルル」

恵比寿「ラ ピッチョリー ド ルル」

渋谷「VIRON(ヴィロン)」。丸の内・東京ビルディングTOKIAに2号店もオープン。

渋谷「VIRON(ヴィロン)」。丸の内・東京ビルディングTOKIAに2号店もオープン。

麹町「ARGO(アルゴ)」

麹町「ARGO(アルゴ)」

“いい空気”の陰に、この一派

渡辺 もちろん東京には、昔から変わらない味のあるビストロやブラッスリーが数多くあります(*)。でも、特にこの数年、絶妙にエスプリが利いてかっこいいお店が誕生してますよね。

 渋谷の「VIRON」、麹町の「アルゴ」、丸の内の「ブラッスリー・オザミ」、恵比寿「ポ・ブイユ」……。

小石原 実は、これらのお店たちには共通点があって。オーナーやシェフが、今はなき原宿の「オー・バカナル」(*)の出身者たちなんです。バカナルのオープン時のシェフ・三谷さん(クラシックな大衆フレンチの名手。東京のカフェ、ビストロ文化のベースをつくった料理人)の元で現場を経験している方たちがいま、それぞれに散って活躍しているんです。青山「アディング・ブルー」リニューアルの指揮をとったのも三谷シェフですね。

渡辺 どのお店もちっとも気取りはないんだけど、フランス文化が匂うというか。洒落た空気があるんですよね。

小石原 インテリアとか、料理とか、サービスとか、スタッフの動きとか、五感で感じるものすべてが絶妙に演出されていて、(お店づくりが)うまいな~と感心してしまいます。で、その三谷シェフが昨年10月に自身のお店をオープンしたんです。「レスプリ・ミタニ」。こちらはメニューなしのおまかせスタイルです(キッチンに立つのはシェフひとりなので多少待つこともありますが)。このオープンを心待ちにしていたファンは本当に多いと思いますね。私もすでに6回食事に行きました(笑)

*1973年オープンの「ビストロ・ド・ラ・シテ」や、フィリップ・バトン率いる「ル・プティ・トノー」など。

*「オー・バカナル」:ラフォーレ原宿の並び、パレ・フランスの1階にあったオープンエアのカフェ・ブラッスリー。フランスのエスプリや大衆的な賑わいなど、まさに“パリの街角”を香らせ絶大な人気だったが、2004年に惜しまれつつ閉店。ファイナルパーティには各界のセレブたちが一堂に会し、伝説の晩となった。

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